新卒採用

CAINZInside

New 仕事 生活向上のために。便利の最大公約数を見つけ出す、「プロダクトデザイン」という仕事
2022-11-29

生活向上のために。便利の最大公約数を見つけ出す、「プロダクトデザイン」という仕事

カインズで活躍する人も仕事も働き方も、その中身に迫る「CAINZ Inside」。今回、登場するのは、プロダクトデザインチームに所属する大楠萌実さん、阿部薫さん、磯部宥子さん、竹田依智子さんです。

カインズのオリジナル商品は2012年から連続11年にわたり、グッドデザイン賞を受賞。デザインの専門家からも高い評価を受ける商品の数々はどのようにデザインされているのか、4人へのインタビューからひも解きます。

プロフィール

主にオリジナル商品のデザイン全般を担当。お客様のくらしをより便利に、より豊かにするデザインをすると同時に自社のブランドを表現する役割も担い、これまでに手掛けた多くの商品がさまざまなデザイン賞を受賞。

ディスカッションの核も立ち戻る場所も、お客様のくらし

—— 企画された商品のデザインを担当するプロダクトデザインチーム。具体的な仕事のプロセスを聞かせてください。

大楠:バイヤーとのミーティングが、プロダクトデザインの出発点です。「このような商品を作りたい」という提案を受け、どうしてそのような商品が必要なのか、開発のアイデアが具体化されたなら、お客様のくらしがどのように向上するのか、バイヤーの話に耳を傾けることから私たちの仕事は始まります。

阿部:バイヤーとのミーティングで重要になるのが、マーケティング部による市場調査の結果ですね。お客様のくらしを向上させるには、お客様の生活を深く理解することが不可欠です。『軽スタ』のようにスタッキングに便利な器を例にしても、一般的なご家庭では何枚ほどの器を重ねて収納しているのか、そこが明確でなければ、お客様の便利にはたどり着けません。

大楠萌実さん
大楠萌実さん
阿部薫さん
阿部薫さん

—— 開発すべき商品とお客様のくらしを照らし合わせることが、プロダクトデザインの第一歩というわけですね。

磯部:はい。バイヤーとのミーティング後、チーム内でも議論を重ねますが、そこでも中心となるのはお客様にとっての便利さです。『軽スタ』のような器であれば、軽さやスタッキングのしやすさだったり、渇きやすさだったり。『もちやすいおろし器』であれば、商品名通りにグリップの良さやおろしやすさについて、チーム内でとことん話し合います。

竹田:お客様にとっての便利なデザインとは、どのようなデザインなのか。チーム内での議論を重ねながらデザインのベースとなるラフスケッチを描いていきますが、行き詰まったときに立ち戻るのもお客様のくらしです。具体的には、とにかく生活のアイテムに触れてみることですね。既存の製品に触れ、どんなデザインに対して快・不快を感じるのか、生活者の目線から再認識してみるんです。

大楠:とは言え、私たちが作成したラフスケッチが、バイヤーの思い描いていたデザイン像と一致するとは限りません。そうした場合には出発点に戻り、さらにバイヤーとの議論を重ねます。両者の納得がいくラフが完成した後、次のプロセスが3Dデータの製作です。ラフに関してはチーム内での議論を元に作成しますが、3Dデータの製作は個人作業。商品ごとに担当が割り振られ、CADを用いてラフスケッチを立体データに置き換えていきます。

磯部宥子さん
磯部宥子さん
竹田依智子さん
竹田依智子さん

プロダクトデザインは「緻密な数字」の集合体

—— するとデザインを描く発想力だけでなく、CADを扱う専門知識も必要そうですね。

大楠:はい。CADの操作方法はもちろん、数学の知識も必要になります。プロダクトデザインって、実は数字の集合体という側面を持っているんです。お客様の手になじむ器のカーブも、おろし器や包丁の持ち手の厚みや長さも、それらを数字に置き換えることがプロダクトデザインの重要な要素です。

阿部:ミリ単位の調整を繰り返しながら3Dデータを完成させ、次はモックアップ、つまりは試作品の製作に移ります。器のカーブにしても、持ち手の厚みや長さにしても、ある程度の指針があるんです。人間工学から導き出された数字の条件をベースにカインズ独自の使い心地をプラスしていきますが、実際にモックアップを製作してみると、思い通りの使い心地とは遠いことも少なくありません。

磯部:ここからが、まさに産みの苦しみですね(苦笑)。出来上がったモックアップをチームの全員が手に取り、ブラッシュアップのための議論を重ねます。議論の結果を再び数値に置き換えていきますが、私たちプロダクトデザインチームが考える最高のモックアップが、そのまま製品化されるわけではないんです。

竹田:そのデザインが想定の予算内で本当に製造できるのか、安全・安心に長くお使いいただけるのか、そこに無理は生じていないのか。今度は完成したモックアップを元に、他部署とのディスカッションが始まります。もちろん、私たち自身も予算やお客様の安全・安心を熟慮しながらデザインをしますが、よりプロの目線からジャッジを受けるんです。

—— するとデザインを描く発想力だけでなく、CADを扱う専門知識も必要そうですね。

学校では教えてくれない、他部署と共に創る醍醐味

—— なるほど。製造技術や品質管理といった部署を巻き込み、さらなるブラッシュアップを進めるのですね。

大楠:もしかすると、そこがプロダクトデザイン最大の難しさであり、おもしろさかもしれません。私たちがプロダクトデザインの観点からお客様のくらし向上を考えるように、製造技術も品質管理のチームも、それぞれの観点からお客様のくらしを考えています。それだけに、意見がぶつかるのも当たり前。意見をぶつけ合いながら便利さの最大公約数を見つけていくことが、この仕事の醍醐味だと思うんです。

磯部:でも、最初は戸惑いましたね。私は美術大学に通っていたので、デザインの基礎知識もCADの扱い方も知っていました。ただ、複数の部署の人たちが寄り集まって、それぞれの意見やアイデアを出し合いながら商品化を進めるというプロセスに関しては、学校では教えてくれません。

阿部:特に私なんて、CADの扱い方すら知らない状態からのスタート。デザインをやってみたい。その一心で異動を申し出たんです。プロダクトデザインとは何たるかも、CADの扱い方も、とにかく実践しながら学んでいく毎日でしたが、部署の垣根を越えた熱い議論は、まさしく学びの場。お客様のくらしを向上するには、本当にきめ細やかな視点が必要です。会議のたびにハッとさせられます。

竹田:他部署との議論はもちろん、実際に製造を請け負ってくださるメーカーさんとのやり取りも学びの宝庫ですね。最近はメーカーさんとの商談の段階から、プロダクトデザインチームが立ち会う機会が増えているんです。私たちが描くデザインがどう製造ラインに乗り、製造の工程がどのように価格に反映されるのか。メーカーさんとの商談は、そのリアルを目の当たりにできる機会です。

—— なるほど。製造技術や品質管理といった部署を巻き込み、さらなるブラッシュアップを進めるのですね。

それぞれの分野のプロが補い合い、助け合った結晶

—— 他部署や協力企業の意見を取り入れながら、便利さの最大公約数を見つけていく。プロダクトデザインとは、とても地道な仕事ですね。

大楠:そうですね。デザインという言葉の印象から華やかなイメージを持つ人も多いと思いますが、実際はコツコツと積み上げるような、地味で地道な仕事です(笑)。あらゆる人たちの意見を取り入れながら試作を繰り返し、10回近くのモックアップを作ることも珍しくありません。

阿部:そして、商品開発の最終工程が、大量生産のために必要な金型の製作です。他部署を含めたメンバー全員が納得できるモックアップが完成した段階で、ついに金型製作へのGOサインが出ます。GOサインは賭けという側面もありますが、議論を尽くしたからこそ、たどり着けます。開発のスタートから2年以上が経過していることもしばしばです。それに金型って、とても高額なんです。金型を製作したからには後戻りはできません。

—— 他部署や協力企業の意見を取り入れながら、便利さの最大公約数を見つけていく。プロダクトデザインとは、とても地道な仕事ですね。

—— 2年以上ですか……! すると、商品が発売されたときの喜びのひとしおのはずです。

磯部:達成感でいっぱいになりますね(笑)。自分が消費者の立場のときには全く想像もしていなかったくらい、いろいろな人の意見が凝縮されているんです。もちろん、他部署からの手痛い指摘に悔しい思いをすることもあります。でも、より良い商品を作るには、各分野のプロの意見が欠かせません。意見がぶつかることがあってもそれは戦いではなく、それぞれの得意分野を補い合い、助け合う行為なんです。

竹田:それに他部署の意見を実際に取り入れてみると、デザインとしても確かに前進するんです。プロダクトデザインだったり、製造技術だったり、品質管理だったり。部署は別れていますが、私たちは分業だとは思っていなくて、部署の垣根を越えた大きなチーム。お客様のくらしを思うチームの結晶が、今、カインズに並んでいるオリジナル商品なんです。

 

—— 2年以上ですか……! すると、商品が発売されたときの喜びのひとしおのはずです。

SHARE